トピックス TOPICS

足のむくみについて

足のむくみとは?

足のむくみは、多くの方が経験する症状のひとつです。血液やリンパの流れが滞ることで余分な水分が足に溜まり、腫れや重だるさを感じることがあります。特に夕方になると靴がきつくなったり、指で押すとへこみが残ることを経験されたこともあるでしょう。

ほとんどの場合は一時的なもので、生活習慣の改善で軽減できますが、なかには病気が隠れているケースもあります。そのため、「いつもと違う」「片足だけが異常にむくむ」「むくみが長引く」といった場合は注意が必要です。

 

足のむくみの原因

足のむくみの原因は、大きく「生理的なもの」と「病的なもの」に分けられます。

生理的なむくみは、生活習慣の影響によるもので、原因を取り除けば改善が期待できます。たとえば、

  • 長時間の立ち仕事やデスクワークで、血液やリンパの流れが悪くなる
  • 塩分の摂りすぎによる体内の水分保持
  • 運動不足や冷え: 筋肉の働きが低下し、血液やリンパの流れが悪くなる
  • 女性ホルモンの影響: 生理前や妊娠中などでホルモンバランスが変わるとむくみが出やすくなる

一方で、病的なむくみは、特定の疾患が関係しているため、医療機関での診断が必要です。

 

足のむくみを引き起こす病気

病気が原因でむくみが生じる場合は、適切な診断と治療が必要です。代表的な病気には以下のようなものがあります。

  1. 心不全

心臓のポンプ機能が低下すると、血液がスムーズに循環できず、下半身に水分が溜まりやすくなります。
詳しくはこちら>>

  1. 腎臓病

腎臓の働きが低下すると、余分な水分をうまく排出できず、むくみが発生します。特にネフローゼ症候群では、尿に大量のタンパク質が漏れ出し、血液中の水分を保持する力が弱まり、強いむくみが現れます。

  1. 肝臓病(肝硬変など)

肝臓の働きが悪くなると、アルブミンというたんぱく質が減少し、水分が血管の外に漏れやすくなります。

  1. 深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

血管の中に血の塊(血栓)ができることで、血流が滞り、片足だけが極端にむくむことがあります。血栓ができた部位より足先側が腫れます。膝より頭側、すなわち太ももが腫れていると血栓がちぎれて肺に飛びやすくなり肺塞栓を起こす危険性が高くなるので危険です。
詳しくはこちら>>

  1. 甲状腺機能低下症

甲状腺の働きが低下すると、粘液水腫と呼ばれるむくみが起こります。これは圧迫してもへこみが残らない特徴があります。

  1. 静脈瘤・静脈不全

足の静脈の機能が悪くなり、血流が悪化して足のむくみや重苦しさ、痛みなどの症状が生じる病気です。 下肢静脈瘤や深部静脈血栓症が原因で、近年では、高齢、身体能力の低下、肥満などの原因が増えています。

  1. リンパ浮腫

がん治療後や静脈不全が原因でリンパの流れが滞ると、皮下に水分がたまり、むくみが持続します。

 

むくみが「片足だけ」なのか「両足に出る」のかによって、原因となる病気をある程度推測することができます。

  • 片足だけむくむ → 深部静脈血栓症、リンパ浮腫、細菌感染による炎症(蜂窩織炎)などが考えられます。
  • 両足ともむくむ → 心不全、腎臓病、肝硬変など全身の病気が関係していることが多いです。

 

当院での診断方法

足のむくみの原因を特定するために、当院では以下のような検査を行います。

  1. 血液検査

腎臓・肝臓の状態や心機能、甲状腺ホルモンの異常を調べます。また、血栓の可能性がある場合には「D-ダイマー」という血液検査を行います。

  1. 下肢血管エコー(超音波検査)

超音波で足の血管の状態を詳しく調べます。静脈に血栓が詰まっていないか、血液の流れに異常がないかを確認できます。また、静脈瘤やリンパ浮腫の診断にも役立ちます。

  1. 心エコー

足のむくみの原因として心不全が隠れていることがあるため、心臓の機能を詳しく調べることも重要です。

 

受診の目安

足のむくみがある場合、次のような症状があれば早めに受診してください。

  • 急に片足だけむくんだ(特に痛みや赤みがある場合) → 深部静脈血栓症の可能性
  • むくみが数日以上続く・徐々にひどくなる
  • 息切れ、動悸、胸の痛み、急激な体重増加を伴う → 心不全や腎臓病の可能性
  • 左右の足の太さが大きく違う → 血管やリンパ系の異常の可能性

足のむくみは、日常生活の工夫で改善できることもありますが、異常を感じたら早めに医師に相談することが大切です。「このむくみ、大丈夫かな?」と少しでも気になったら、お気軽に当院にご相談ください。