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末梢血管疾患について

末梢血管疾患

 

末梢血管疾患は動脈と静脈の両方に生じます。動脈は心臓から離れた末端部に向かって血液を送る血管であり、冠動脈以外のものを末梢動脈と呼びます。大動脈、頸動脈、そして手足の動脈などが含まれます。中でも動脈硬化による足の病気、下肢閉塞性動脈硬化症(最新のガイドラインでは下肢閉塞性動脈疾患 ― LEADと呼ばれます)が多く見受けられます。心臓に向かって血液を運ぶ静脈の疾患も足に生じやすいです。下肢静脈血栓症(DVT)は静脈内に血の塊、つまり血栓ができることで血流が閉塞し、血液が滞ることで足が腫れます。その血栓がちぎれて肺まで達すると肺の動脈が血栓で詰まってしまい、呼吸が苦しくなる肺塞栓症を引き起こします。これはエコノミークラス症候群、あるいは東日本大震災で被災し避難所での生活中に多く発生した病気として知られています。また、静脈には逆流を防ぐための弁がありますが、その弁の機能が低下すると血液が逆流しやすくなり、静脈が膨らんで下肢静脈瘤が起こることがあります。

 

Q. 症状にはどのようなものがありますか?

LEADでは足の冷え、痛み、潰瘍を認めます。また、間欠性跛行といって歩き始めは無症状なのですが、次第に足に痛みが生じて歩けなくなり、休むと再び歩けるようになる症状も特徴的です。DVTでは片側の足の腫れ、痛みや皮膚の赤みを伴うこともあります。下肢静脈瘤では静脈が皮膚に浮き出てコブのような膨らみが生じます。長時間立ち続けることで症状が悪化します。

 

Q. 診断方法は?

LEADでは、足関節上腕血圧比(ABI)という簡便な方法で足の血流が低下していることを評価し、値0.90以下で血管の病変が強く疑われます。DVTでは、下肢静脈エコーで静脈血栓が描出されます。また、血液検査で血栓形成により上昇するDダイマー値を測定することが診断の補助になります。

 

Q. 治療方法は?

LEADでは、下肢の細くなる、あるいは閉塞した血管に対して血管内治療やバイパス手術などの血行再建術が行われます。突然、動脈が閉塞してしまった場合には、緊急手術により血栓を除去する必要があります。DVTでは、抗凝固療法が行われます。肺組織に血栓が移行しないように下大静脈にフィルターを一時的に留置することもあります。DVTや下肢静脈瘤では弾性ストッキングの着用により一定の効果が得られることがあります。